去年の秋に書いた言葉 |
返信 |
ジトジトした湿り気のない爽やかな秋の風が、
クールビズ仕様のワイシャツの襟元を抜けていく。
まだ夏の強さを残している日差しのせいで,
どこかバランスが悪い空気の中、
私は土手沿いのサイクリングロードを歩いていた。
道を護るように咲いていたたくさんの向日葵たちは、
いつの間にか花から葉へと黄色を移し、
一様に太陽から顔を背け俯いている。
少し前まではお互いに向き合っていたのに。
川に架かる大きな橋に差し掛かると、
天寿を全うしたであろうセミが一匹、
白いタイル状の道に横たわっていた。
地上に這い出てから一週間生きられるかどうかの短い時間の間に、
彼(彼女)は何を見たのだろうか。
目に映るものが全て、自分自身の心境と重なってしまう。
今の私だから、そういうものが目に入ってしまうのか。
もしくは、そういうものを見たから、この心境になったのか。
…前者だろう。
季節の分かれ目。何かの終わり。
その瞬間がいつなのかはわからない。
いつも、いつの間にかやってきていて、
後になって終わったことに気づく。
夏ほど楽しく、淋しいものはない。
去年の夏は、そんな夏。
投稿者 ybb4ac | 返信 (0) | トラックバック (0)